

つわり中、炊き立てのご飯の匂いがつらい…!
妊婦さんを悩ませる、炊き立てのご飯の匂い。
普通の人にとってはとてもいい匂いですが、
特につわりが酷い妊婦さんにとっては辛いモノ。
とはいっても食事を作らないワケにはいかないし…。
私も妊娠初期の頃はつわりがひどかったです…

今回は、そんな悩める妊婦さんを救うべく、
炊き立てのご飯の匂いが軽減できるかどうか、
香りの研究結果から導いた仮説をもとに、自身で検証してました。
検証結果として、だいぶ匂いを抑えることができる方法を見つけましたので、
詳しくお伝えしたいと思います。
あくまでも個人での検証結果ではありますが、
よかったら参考にしてみてくださいね。
この記事の信頼性
この記事を書いている私は、美容・アロマ業界10年以上の元美容部員。
AEAJ認定アロマテラピーアドバイザーの資格を持っています。
仕事では香りに関する研究の調査やPRをしています。
もくじ
妊娠中、炊きたてのご飯の匂いが気持ち悪くなるのはなぜ?
妊婦さんが匂いに敏感な理由

つわりのメカニズムは実はまだ明らかになっていないことも多いのですが、
妊娠すると、ホルモンの影響により、嗅覚が敏感になる
ということは分かってきています。
ちなみに、人が匂いを感じることの出来る最小濃度のことを「嗅覚閾値(いきち)」といいます。
何の匂いかわからなくても、「ん?何か匂っている…?」と感じることがありますよね?
この嗅覚閾値には個人差があり、特に妊婦さんの場合、匂いに対する閾値が変わり、
嗅覚の感受性や匂いに対する嗜好にも影響があるようです。
参考文献:性周期における嗅覚感受性とにおいに対する嗜好の変化
近年明らかになったご飯の香り成分

「これまで難しいとされていた炊きたてご飯の香り成分の測定に成功した」
というニュースが2020年にあったので、その概要についてご紹介したいと思います。
研究概要
福井大学と福井県農業試験場の研究によると、
福井県のブランド米「いちほまれ」から、甘い香りと花のようなさわやかな香りの2種類を検出。
時間がたつにつれ、さわやかな香り成分は急速に減ることも分かった。
ここで見つかった2種類の香り成分とは
-
4-ビニルフェノール(甘い香り、子供用風邪シロップのような香り)
- インドール(花のようなさわやかな香り、低濃度ではジャスミンの香り)
つまり、炊き立てのご飯の香りは「甘く花のような香り」といえるのかもしれないですね。
普通の人にとってはとてもいい香り。
私も炊き立てのご飯の香りは大好き。

ただ、ここでちょっと引っかかるのが「インドール」という香り成分。
インドールとは?
主にジャスミンやイランイランなど、可憐な花々に含まれている香り成分のひとつです。

これがまさにクセモノ(臭モノ?)で、
微量であったり、他の香り成分と掛け合わさるとあの美しい花々の香りとなるのですが、
実は単体で嗅ぐと非常に強烈な不快な香り(う〇ちのような匂い…!)とも言われているのです…!!
もしかしたら、妊婦さんはどちらかというと
不快な香りとして、炊き立てのご飯の香りを察知してしまっている?
のかもしれないですね。
ちなみに「インドール」がなければ、あの魅惑的な花々の香りは再現できない、といわれているくらい、実は重要な香り成分なんですよ。

ご飯の匂いを軽減させるヒントとなる研究結果

そんな悩める妊婦さんを救うべく、
炊き立てのご飯の匂いを軽減させるためのヒントになりうる
研究結果があるので、ご紹介したいと思います。
研究概要
炊飯に伴う米飯の香気について検討。
米飯 (こしひかり、 れいめい)を開放加熱と閉鎖加熱(※ビーカーを使用)した際の香気成分を比較したところ、開放加熱では 42.9%のカルボニル量が蒸発。
官能検査では、開放加熱の米飯が閉鎖加熱よりも好まれていた。
好ましくない香気のペンタナール、ヘキサナールなどが蒸気として揮散することが嗜好的にも良い結果をもたらすことが分かった。
参考文献;炊飯に伴う米の香気成分の変化および揮発性カルボニル化合物について炊飯に伴う米の外観, テクスチャー, 香味の変化について (その2)
ちょっと難しいですが、かなり要約すると
開放して加熱した方が、あまり好ましくない香り成分が減少した
ということです。
コメに含まれる香気成分には、約100種類の揮発性成分が複合されています。
(アルコール、アルデヒド、ケトン、酸など)
そのうち、あまり好ましくない香り成分(ペンタナール、ヘキサナール)が、
蓋を開けたまま加熱することで気化し拡散されることで少なくなることが分かった、
というのがこの研究結果の内容です。
ご飯の匂いを軽減させる方法

先にお伝えした研究結果もふまえ、ご飯の匂いを軽減させるポイントを3つ考えてみました。
ポイント3つ
-
鮮度の高いお米を選ぶ
-
蓋を開けたままご飯を炊く
-
ある程度冷めて(湯気が落ち着いて)から食べる
鮮度の高いお米を選ぶ
コメの香り成分は時とともに変化するともいわれています。
古いお米は酸化することで、ヒトが不快に感じる香り成分が増えてきます。
(ケトンやアルデヒドなどが増え、ヘキサナールやペンタナールといったカルボニル化合物が増加する)
でもなんとなく、古米って匂いもそうですが美味しくないですよね?
逆に、新米の炊きたての匂いってとてもいい香りとしての印象が強いと思います。
できるだけ鮮度の高いお米を選びましょう。
蓋を開けたままご飯を炊く
こちらが先ほどの研究結果から導き出した方法です。
先にお伝えしたとおり、蓋を開けたままご飯を炊くことで、不快に感じやすい香り成分を減少させることができます。
なので、妊娠中はできれば炊飯器を使用せず、蓋をしないでお鍋でご飯を炊くことをおすすめします。
ある程度冷めて(湯気が落ち着いて)から食べる
香り成分の特徴として、揮発性というものがあります。
ヒトが匂いを感じるためには、香り成分が気体に変化しなくてはいけません。
炊き立てのご飯のホカホカの湯気の中には、まさに香り成分が満載。
すこし湯気が落ち着いてから食べることで、嗅覚への刺激を抑えることができます。
実際にやってみた検証結果(個人の感想)
先にお伝えした3つのポイントをおさえ、実際に自身で検証してみました。
蓋を開けたままお鍋で炊くご飯の作り方

材料
お米1合に対し、水約350cc
※蓋を開けたままにするので水が蒸発しやすいです。水加減に注意しましょう。
作り方
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中火で沸騰するまで火にかける(6~7分)
-
沸騰したら弱火にする(10~12分)
-
火を止めて蓋をしないで置く(15分)
私も実際にお米を炊いているとき、思ったより水が蒸発していくので、途中でお水を足し、トータルで約350になりました!
通常蓋をしてお鍋で炊くときのお水が「1合に対し、約200cc」です。
お米が硬くならないよう水加減を調整してみてくださいね。

炊飯器で炊いたご飯との比較

A…炊飯器で炊いたご飯
B…蓋を開けたままお鍋で炊いたご飯B
炊飯器で炊いたご飯Aと蓋を開けたままお鍋で炊いたご飯Bを比較してみたので
以下に個人の感想をお伝えします。
匂い
匂いは明らかに炊飯器で炊いたご飯Aの方が強いです。
まず、炊飯器を開けたとき一気にくるあの「もわっ」とする蒸気と匂い。
普通の人にとってはとてもいい匂いですが、妊婦さんにとっては苦痛。一発でノックアウトです。
さらに、炊飯器だと保温効果も高いので、
ご飯をしゃもじで混ぜたときにも、炊き立ての匂いと湯気が襲いかかってきます。
その点、蓋を開けたままお鍋で炊いたご飯Bについては、
全体的に匂いが気にならなかったのがとてもよかったです。
まず調理中ですが、少しずつ香り成分が飛んでいることになりますが、
私はほぼ気になりませんでした。(もちろん換気扇も回しておくと◎)
蓋を開けるという過程がないので、一気に「もわっ」と匂いが襲いかかってくることがありません。
また、湯気がとれるまでしばらく放置していたので、
炊き終わってお鍋に近づいても匂いを強く感じることがありませんでした。
しゃもじで混ぜる際にもほどんど匂いは気になりません。
味
味については完全に個人の見解ですが、
やはり炊飯器で炊いたご飯Aの方が若干美味しいかな、という印象でした。
炊飯器で蓋をしている分、うまみ成分も凝縮されているのかと思います。
BよりもAの方が匂いが強い分、味にもコクがあるように感じました。
ただ、蓋を開けたままお鍋で炊いたご飯Bについても、決して遜色ないように思います。
十分美味しいですし、そのまま食卓に出しても他の人にその違いはあまり分からないと思います。
お米の炊き具合(硬さ)も、水加減に注意すれば、問題なく柔らかく炊くことができます。
結論としては、蓋をとってお鍋で炊いたご飯でも十分美味しく、さらには匂いを抑えることができたと思います。

まとめ

炊き立てのご飯の匂いには様々な香り成分が含まれており、
嗅覚が敏感になっている妊婦さんにとっては好ましくないことも。
本記事で紹介した研究では、蓋をしないでご飯を炊くと、不快に感じる香り成分を減少させることができる、ことが実証されています。
筆者が実際に検証してみたところ、味には大きな差はあまりなく、
炊飯器で炊く時と比べて、だいぶ香りを抑えることができたように感じます。
あくまで個人の見解ですが、
炊き立てのご飯の香りで悩んでいる妊婦さんがいたら、試してみる価値アリです。
ぜひやってみてくださいね!
そしてご飯をたくさん食べて、元気な赤ちゃんが産めますように。
母は強し。炊き立てのご飯の匂いに負けないでっ
